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        ここは“にゃんこのしっぽっぽ-猫的徒然話”です。 ここでは猫好きな管理人の趣味大爆走で御送りする、 ねこねこしたブログになっていくでしょう。 ちなみに、やはり愛猫ももちゃんが出現する率は高いです。
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ささら 由羅
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女性
趣味:
創作とか♪多趣味。
自己紹介:
どうも、ささら由羅と申します。COOLな猫好きな人間です。(まわりの人間いわく猫狂い、猫キチガイ)。
愛猫は、ももと申します。可愛らしく、そしてナカナカ気のつよ~い女の子でございます。どうぞ、よろしくお願いします。
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ももとの最後の思い出ー回想記5

-
続きます。

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11月30日 朝  ももちゃんの最期の朝

6:30ぐらいだったと思う。弟の朝は早い…。

「…。ももを見ていかないのか?いいのかい…?」
私は弟にそう聞いた。
「うん、昨日見たし、流石に辛すぎる…」
「そうか…」
気持ちは痛いほどよくわかる。ももが死んだという事実は、とてつもなく響いてくる。
「お前の分も、祈っておくよ」
「ありがとう…」
なんともいえない、弟の出勤だった…。

今日は、ももの火葬の日なんだな…。そう思うと胸が痛んだ。
こんなに、可愛いのに、生きているように見えるのに、あと少しで骨になってしまうのだ…。
そう思うと壮絶に悲しかった。
ももが死んだのも強烈に悲しいが、このももを火葬にするのも悲しいものだ。
これほどまでに可愛いももを火葬にしてしまうのは、何とも言えない気持ちだった。
けれども、もうこういう形に決まってしまってるのである。

「もも、起きないのかよ… 君は起きないと骨になっちゃうんだよ…?」

部屋に戻って、ももに話しかけても、ももは動かない。
いつものようにノンビリとした優雅な顔でそこにいる。永遠に覚めない眠りの中にももはいる。
起きそうな顔をしているようなももだが、もう二度と目覚めない。
わかりきっている現実が酷く惨かった…。

日の光が差し込んでくる。来るなと思った日が来てしまったんだとそう思う。
こんな日が来るなんて、誰も望みやしないのに…。
もものために何もしてやれない自分が悔しくて、悲しくてどうしようもなかった。
なんで人間は自分の命を、動物にあげることができないのだろうとも思う。
一緒に幸せになっていこう♪と思っていたももは、もうここにはいない。

「そろそろ棺桶の中にいれてやろうよ…」
父親が告げた。私はももを棺桶に入れてしまうのがどうにも可哀想で入れられなかったのだ。
もう最後なのだから、狭い箱越しじゃない状態で、この家の空気に触れてほしかったのだ。
狭い箱に入るのは好きなももだったけれど、そう思ったのだ。

「そりゃそうだね…」
紙の箱というか段ボールの箱を綺麗に加工した箱、それがももの棺桶だった。
私が前日作成したのだ。
新聞紙を敷き、近所のENDOW家が亡くなったもものためにくれたピンクのフワフワなタオルを敷いた。2枚あるうちの1枚を敷布団にした、もう一枚は掛布団にするのだ。
このタオルはももが死んでからずっと彼女をつつんでいたものだ。
そして、どうもももが気に入っていたらしい金魚の手ぬぐい、生前は敷物やら被り物やらになっていたもの、死後はももの枕として使用していたものを、枕として畳んでで置いた。

ももは、すっかり固く冷たくなっていた。見た目ではわからないけれど、触ってみると残酷なくらい死んでいるのがよくわかる。
こんなに硬くて冷たくなってしまうなんて…。私の知っているももの感触ではない。
けれども、これはももなのだ。信じたくないけれど、これはももなのだ。

死体をそっと置き、ピンクのタオルをかぶせる。顔は見えるようにした。
見ている分には本当に死んでいるようにみえないのだ。ぐーぐー呑気に寝ているようにしか、やはり見えない……。
そして、そのももの周りに、親戚のISIKAWA家がくれた花を飾った。
更に、家に咲いてた、可愛らしく咲いていたオレンジ色の菊も入れた。この菊は、ちょっと前のも生前のももと一緒にいた時のことを思い出させる。
元は、この花は私の亡くなった友人のために持っていってやろうと思っていた花だった。
そんなことを、ももと話していたことを思い出す。

「この花、可愛いから、Sちゃん(私の亡き友人の名前)のところに持っていこうって思うんだ…。明るい色だしね」
「……」
ももはそんな私を見ていた。優しそうな見守るような目だったことを思い出す。
そんなことを家の庭で話していたのだ。

なのに、その花は今、ももの棺桶の中に入れられている。
永遠に眠り続けるももを飾る花となっている。惨いほど、ももは綺麗だ…。
そして、お供えしていたももの好物も入れ、私が先ほど書いた手紙も入れた。
寂しくはない棺桶の中である…。ももは少しはいいって思ってくれるだろうか…???
ももは静に優しい顔をして永遠に眠っていた…。


「って、おい、それはなんだ…?」
「へっ!?」
父突然、父はピンクの封筒を指さして言う。
「…。えっ!? ももへの手紙だよ。せめてもの餞別だ」
私は答える。

「おいおい、猫に手紙を書いたのか?」
父は呆れたように私を見る。私はまったくひるむことなくいう。
「問題はないでしょう? そもそも、ももは人間のしゃべる言葉を理解していたんだから、手紙だって有効でしょう? 文字は読めたかもしれないし、読めなかったかもしれないけどね。まあ、こんなことが書いてあるんだよと、念のために読んでおいたから、大丈夫だ」
「珍しいことをするんだな…」
「ももが喜ぶかどうかはわからないけれど、できることはしてやりたいだけだ」
「…。そういうもんか…???」
「人間の棺桶に手紙を入れる場合もあるんだし、猫に入れていけない理由はないよ。ももだって許してくれるよ。ももは賢くてかわいい猫だったんだからっ」
理路整然と入っていても、イマイチどっかずれた言い分となっている。
「なるほど…。しかし、変な奴だなあ…」
「なんとでもいえばいいでしょ、まったく…」
私は、どこか自分がぶっとんだ感じで父親につげた。口調は正常に近かったが、この時の私はあんまりまともじゃない気もした。
「…。昨日、なんだかお前が書いてたのは、この手紙だったんだな」
どこかしみじみと父親はいう。
「そうだよ、ももへの手紙だから、ピンク色なんだ」
「ギャグか?」
おいおい、オヤジ。私のももへの思いをギャグにする気か?
「可愛らしくていいではないか? ももだぞ、ももは可愛いのだし、でも上品にしたかったから、この封筒と便箋を出してきて書いたんだよ…」
「…。なんか、ももは喜ぶのかもしれないな…」
「……。何もしてやれない私からのせめてもの贈り物だ。はじめてだよ、ももに手紙を書くなんてな…。ももの生前には手紙を書くことなんかなかったよ…」
「おいおい、ももは猫だぞ。手紙読めねーだろ…」
「読んだかもしれない。可能性は否定できないんだ、ももだもの…」
「まあ、ももだしな…」
が、結局なんだかんだといって納得する父であった。

「よし、わかった…。その手紙読めっ」
「って、読むんかいっ!?」
私はこけた。親父よ、なんでこんな展開になる?
「書いたのだから、読まなきゃもったいないだろ~が…」
「もう読んだよ」
「俺が聞いてもいいものだろ~が~」
父親はぶつくさいうが、まあ、確かに言い分はその通りである。
「…。長いけどいいのか?」
「そりゃ長いだろうよ」
父親はふむとうなづいた。そしていう。
「…。読めや……」
「わかった…。 まあ、便箋7枚だからね」
「って、そんなに書いたのかーっ!?」
「ももへの思いは便箋7枚で終わるようなものじゃないのよ。本来はね。でも、無理矢理まとめたんだよ…」
本当にそうである。そんなもので終わるほど、ももへの思いは伊達ではないのだ。
「そんなにいっぱい封筒に入るのかよ…」
「入っているでしょうが…。もっともぎちぎちだけど」
「そりゃそうだな…」
父はとりあえず納得した。そうして、私は再びももへの手紙を読み始めるのだった…。

「じゃあ、読むよ……」
私は、ももの棺桶から、ももへの手紙を出すと読み始めた…。

ももが死んで哀しくて虚無だという事、ももはこういう猫だという事、
生前のももは、素敵な猫であった事…。
19歳4カ月の生涯にありがとうございますとおつかれさまと…
もものことを忘れないし、もものことを待っているから…

ピンク色の便箋は、ところどころ滲んで、字がぼやけているところもあった。
泣きながら書いたものだから、涙の一部がこぼれてたのだろう。
ともかく読んだ、淡々と読んだと思う…。
聞こえる自分の声が、自分の声じゃないみたいに聞こえた。

(もも、本当に死んじゃったんだね…)

ざっくりと、その言葉が私を刺した…。容赦なく刺しまくった…。
ももの死を認めたくない私が悲鳴をあげる。心の中で断末魔の叫びを何度もあげまくる…。
この虚無が壮絶に哀しみをどんどん持ってくる。
この狂いそうな苦しみはなんていうのだ???
この苦しみである痛みが、私の正気を辛うじて保って、やはりぶち壊していく…。


ともかく、ももへの手紙を読み終えた。 最後頃は涙声になりそうになりながら読み終えた。

「長かったな…。良くかけたなというか…7枚は書きすぎだろう…ラッキーセブンか…」
なんだか父親のわからん感想が出てきた。
「た、たまたまだ…」
少々力が抜ける…。ラッキーセブンて、おいおい親父…。
「よし、それコピーしてこいっ」
「おい」
父親のいったことに更に力が抜ける。が、父親はあたりまえだというようにいう。
「せっかく書いたんだから、コピーしなきゃもったいないだろう?」
「……」
私の動きは止まった。これは想定外だった…。
「な、何に使うんだよ、ももへの手紙なのに…。ももへの手紙だけど、ももはもう読めないし、意味ないだろう…?」
死者への手紙は、普通コピーするものなのか…???
「え? あとで読み返したいときに、コピーないと困るだろう?」
父親は不思議そうな顔をする。
ええっ!?
「よ、読み返さないよ…。もものことはいくらでも思いだすだろうけど、自分が書いた手紙を思い出すって、この場合ないような気がする…」
「ええ、そうか??? 残すつもりで書いたんじゃないのか???」
「そんなことしませんっ。只々私は、もものために、せめてめもの贈り物ということで書いたんだよ。まったく想定外だ…」
なんつ~ことをいう親父だ…。
「手紙を書いてコピーするって…、まあ、用心深い人とかならやるかもしれないけど、ももは手紙書けないだろうし…」
が私もなんだか奇妙なことをいっている…。
「コピーできるのに、しないなんて勿体なくないか…?」
「別に? なんていうか、本体がももと一緒に燃えるのに、コピーが残っているのって、なんかこの場合、なんともいえない恥ずかしさってのが出てくるような気がする…。おそらく、この手紙、今は平然としてみられるけど、時間がたったら、いろいろ恥ずかしくなるものだぞ。多分…」
我ながら、そう思った。
恐らく、もっとこう書けばよかった、こういうことをもっと書いておけばよかったと、反省しまくり、泣きそうになることが予想できた。
ただでさえ、悲しいのに、これは違う意味で拷問だと思う。
手紙は確かに自分の作品ではあるけれど、この場合はそもそも違うような気がする。
それに、この手紙はももへのものだ。それが誰かの目にふれるようなことになるのは、なんだかものすごく嫌だった…。

「勿体ないなあ、折角書いたのに…」
父親はう~んとうなって言う。
「そもそも恥ずかしいぞ…」
私はともかく反論する。
「そうかあ?」
「お父さんだって、自分の身内でも友人でも何でもいいけど、死者への手紙書いたとして、燃やす前にコピーしておく?」
一応私は父親にいってみる。
「いや、俺、そんなことしたことない。勿体ないだろうが…。燃えちまうとわかっているのに、そもそも書けないだろうが」
父親はきっぱりといった。
おいおいおい。力が抜ける、抜ける…。
なんというか…。そりゃあないだろう、親父よ…。

「とにかく、手紙はコピーしないよ。恐らく、私は回想記書くから、問題はないしね。それに手紙はももだけに持っていってもらいたいんだ。コピーしたら、なんか、お前は手紙を出すのが、ホントは惜しいのかって言われている気がしてくるんだ…」
私はそんなことをいった…。
「そうか?しかし、よくお前書けたな…。あんな短時間で…」
父親はそんなことをいう。
「…。いくらでも書けるもんだよ。本当はね…」
「お前のそういうところは、よくわからん…」
何故か父親はそう真面目に言った…。
「ももへの思いっていうのは、限りなく果てしなくあるもんなのだからね…」
そうだ、だからいくらでも書けてしまう。
本当は、哀しいぐらい残酷なほど書けてしまうんだ。

「この手紙は、ももだけが持っていけばいい…」
私は便箋を再び畳むと、封筒の中に入れた。そして、ももの枕もとにそっと置いた。
(私はまだあの世にいけないから、この手紙を代わりに持っていってね)
そんなことを思う。
「この手紙は、ももへの手紙なんだからさ…」
「まあ、そりゃそうだな…。好きにすればいいさ…」
父親はやれやれといった顔をする。私が頑固なのはもう嫌なぐらいわかっているのだろう…。

こうして、朝の時間は過ぎていく…。
刻々と時間は近づいてくる。物凄く速く、残酷に…。



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ももとの最後の思い出ー回想記6 に続きます。

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