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        ここは“にゃんこのしっぽっぽ-猫的徒然話”です。 ここでは猫好きな管理人の趣味大爆走で御送りする、 ねこねこしたブログになっていくでしょう。 ちなみに、やはり愛猫ももちゃんが出現する率は高いです。
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HN:
ささら 由羅
性別:
女性
趣味:
創作とか♪多趣味。
自己紹介:
どうも、ささら由羅と申します。COOLな猫好きな人間です。(まわりの人間いわく猫狂い、猫キチガイ)。
愛猫は、ももと申します。可愛らしく、そしてナカナカ気のつよ~い女の子でございます。どうぞ、よろしくお願いします。
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ももとの最後の思い出ー回想記10

続きます。

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11月30日 ももを待つ時間

「本当に申し訳ありませんねえ…」
そこの寺の坊さんのお母様の、ほどよく元気のいいばあ様が来て、壊れた急須を片づけて、
新しい急須で御茶を入れてくれた。
私は、そこで御茶を飲んで落ち着いた。
御茶は美味しかったのか、どうなのか味は覚えていないけれど、落ち着いたのは確かだ。

「大丈夫でしたか?」
「はい、御心配かけまして…」
母親とばあ様とそんなことを話していたが、会話なんて覚えてない…。

(ももは、今、燃えていて熱いんだろうな…)
私はそんなことを考えつつ御茶を飲んでいた。

で、母親と父親とばあさまは、部屋から出ていった。
どうも、知り合いの墓がこの寺にあるのらしいが、場所がわからないということで、案内してもらうらしい。私はここで待つことにした。とても他人の墓に手を合わせる気分にはなれない。

私はお菓子を食べつつ、お茶を飲んだ…。
「味しないな…」
本来なら甘いはずのお菓子も何も味は感じなかった。まあ、ももが死んでからずっとそうだった。もう、ショックで味覚がマヒしているみたいだった。
お菓子はレモン味の洒落たお饅頭みたいなものだったが、なんか、しっとりとした練った小麦粉を食べているみたいだった。いや、小麦の感触はあるのだが、本当に味がしないので、何を食べているのか分からなくなった…。

(ももだったら、何を食べてたのだろうか…?)
そんなことを漠然と考えてた。ももは、女の子のせいなのか、甘いお菓子が結構好きで、私がおやつとかを食べていると、やってきて、よく一緒に食べたのだ。
晩年は腎臓が悪いので量は控えめになったけど、ふたりで仲良く食べてたなと思いだす。
もう、ふたりでお菓子食べることもなくなっちゃうのか…。

つい最近も、食べたな…。お饅頭食べたっけ? マシュマロも食べたな…。
甘いお菓子が好きな子だった。
体調の事を考え、あげる量は少なめだけれど、私がお菓子をお皿にとりわけ、食べやすい形にしていくのを嬉しそうに楽しそうに見ている子だった。
そして、ぺろっと食べて美味しいねえという顔をするももが可愛かった。

(もっと、ちょうだいよ?)

可愛くオネダリされて、私は負けて、またちょっとお菓子を追加してあげることもあったな…。
かなりあったな…。
本当に可愛い顔をしておねだりするので、どうしても、負けてばっかだった。
といっても、限界はあるので、ある程度いくともう駄目だよといってあげなかったけど、その時はももは、うーんそうなのか…という顔をしてた。
「また明日たべようね」
そういうと上目遣いのような、まだ食べたいという顔のような、でも、無理なんだろうなような何ともいえない顔をしてた。
なんとも罪悪感の残りまくる顔をしてくれるももであった…。
いろんな意味で賢い子であった…。
そして、そのあとは、ももは私の足の上にのってリラックスしたり、音楽聞いたり、本の上に乗ったり…、いろいろしてたな…。

なんでもない他愛ないことだけど、愛しく切ない思い出になってしまった…。

「もっといろんなことしたかったな…」
こう亡くなってしまうと、してあげたかったことが山のようにわいてくる…。

私はももの最期には、ももと叫んで、抱きしめることぐらいしかできなかった…。
ももが最後に見たのは、半狂乱になりかけて泣いている私なのだ…。

(なかないの…)

そんなことをいってくれたような目だった気もする…。
あんなに苦しんでいたのに、亡くなる時には悲しいほど優しい顔になって、そして死んでいった…。舌もでろっとでて、死んだとわかる顔になっても、そっと目を閉じさせ、舌も口に入れてそっと撫でたら、穏やかな穏やか過ぎるほどの顔になった。
最後の最後まで美猫なももだった…。

私だけが彼女の死を看取ったのだ……。

ももを抱いて、泣くしかなかった私も思いだす……。
私が60歳になるまで生きるって約束してくれたじゃないか…。まだまだ私は60歳にはなってないぞ。ずっと未来の話なのに…。

何で、お前は先に行くのだよ? 何で、私を置いて天国にいってしまうのだよ?

情けなく、強くはない私を置いていって、お前は平気なのかよ?

腎不全で倒れた時は、あまりにも情けない私の為に死にそうだったけど、復活していきてくれたじゃないか…。どうして、今回行はいってしまったんだよ…?
あの時みたいに死んじゃいそうなそぶりなんか見せずに、一気に天国へ行ってしまった。

あの時以上に、ぼろぼろ泣いても君はもう戻ってこない…。
(そばにいてあげるね)
とそばに寄り添う事もない…。

あんまりじゃないか……。もも……。

死ぬような予感なんかさせないで、ただただ我儘で甘えん坊で、可愛い猫をやっていたのに、
いきなりあの世にいくなんて、あんまりだよ…。

もものことが溢れるばかりに思いだす。すべてが愛しく、すべてが切ない…。

溢れるばかりの思い出は形にして残しておこうね。
もも、君のことを忘れないけど、
忘れたくないから、形にするよ…。供養の品になるといいのだけれどね…。

思い出に浸りながら、そんなことを心に誓う…。

(もも…、お前はもう、ここにはいないのね…)

今、ももの魂は何処にいる? 私の傍にいるのか?

ふと、そんな気になる…。どうにも、ずっと私の傍に何かがいる気がするのだ。
それは不快なものではなく、ただただ存在する。ももなのだろうか?
そうに思えてならなかった…。

姿は見えなくても、私に寄り添ってくれようとしているのか?
(もも、お前は魂になっても優しいな…)
泣きそうになる…。勝手に想像して泣きたくなる。
亡くなったものの魂はしばらく彷徨ってから、近しい者を巡ってから、あの世に行くという。

どうぞ、やすらかにいってくれ…。そして、いつか私がそちらに行く時、お迎えに来てね。
いつあの世にいくかなんてわからないけど…。
遠い未来の事かもしれないし、案外近い未来の事なのかもしれない。

そして、同時にもうひとつのことを祈る。

化け猫でも、猫又になってもいい。生まれ変わってもいい。
私達のところに、いつか帰ってきてね。
ももがいない世界は、悲しすぎるよ。

ももだって、きっと大変だし、こちらも、もうこんな悲しみでぐしゃぐしゃだけれど…。

ももがいつ帰ってきてもいい様に準備だってなんだって、整えておくから、いつか帰ってきてよ。すぐに生き返るのは難しいだろうから、けれどもちゃんと待っているから…。
そうしたら、ほとぼりさめたら戻ってきてね…。

そんなことを、ぐしゃぐしゃな頭の中で思って祈る…。

「もも…、お前がいないのは寂しいよお…」

この慟哭、この虚無感、この悲しみ…
ももの存在が、強烈にそれを連れてくる…。

それらは忘れてくれるなといっているのだろうか?
忘れるわけないだろう…?

いつか、戻ってきたら、お帰りといって抱きしめてやるよ。

いっぱいなでなでも、いっぱいブラッシングも、いっぱいのだきだきも…
私の手は忘れないよ。
ももの好きな、ご飯もおやつもたんまりあげるよ。
まだまだ、やり残したことあるんだよ。ももだってあるでしょう?
また、いっしょにやろうよ?

私は人間、ももは猫…。そのつながりの深さに泣けてくる。

また、おいでよ。もも、君だけだよ…。私のそばにずっと居てほしい猫は…。
だから、あんまりだ。このまま死んで、さよならなんて…。

いつか、逢おう…

私は目を閉じる。御骨になってしまうももがいる現実の空間なんぞ見たくはなかった。
自分で作る虚ろな闇の中、そこに閉じこもって消滅してしまいたくもなる。
けれども、それはできない…。

ももを待つのだから…。私は生きていかなきゃいけない…。
わかりすぎている結論。それは酷く残酷で虚ろだった…。

そして…、そして…、そして…。


「どうも申し訳ありませんでした…」

意識が虚ろになる一歩手前だったと思う。坊さんがタオルに包んだ氷で手を冷やしながら、やって来た。
「ええと、大丈夫ですか…?」
そんなことしか言うことがない。
「いや、本当にすいません…」
申し訳なさそうに、坊さんは言った。
「いや、なんていいますか、びっくりしましたが、誰のせいでもないのだし、とにもかくにも火傷ですんで、幸いでした。お大事にとしかいいようがありませんけど…」
私は本当にすまないことに、何もいいこともいえやしなかった。
なにをいえというのだ?

が何故か、話していた……。気が付いたら、以前、ここの寺にいた犬の話になった。

「悲しいのはわかりますよ」
穏やかに坊さんは話をした。
「私も、犬を飼ってましたから…。死んだときは本当に悲しくてね、泣きもしましたよ…」
坊さんだって、そりゃ大事にしていた飼い犬が亡くなりゃ、そりゃあ、悲しいだろう。
けれども、どこかぶっ壊れた私は、ああ、坊さんでも悲しいものなんだなと、何とも失礼な思想になってしまっていた。
で、ふと気づく。
「ん? それって、この御寺の一角の檻というか、犬の庭みたいなところによくいた、真っ黒い犬???」
「そうです。あれ、知っていたんですね?」
意外そうにお坊さんは私を見た。
「ももが来る前の事だから、もう20年ぐらい前のことだけど、覚えている…。堂々としてて、大きくて、ちょっと怖かったけど、おそらく優しい性格のわんちゃんでしたね…」
「覚えてくれてたんですか…」
「なんていうか、お墓参りをする人達をいつも見守ってましたね…。たまに吠えられてびっくりしたこともあったけど、ちょっとそれは怖かったけど、優しい目をしたわんちゃんでしたね…」
おぼろげな記憶をたぐりよせる。
手を振ると、こっちをみて尻尾を振ってくれる犬だった。そんな接したことがあるわけではないけれど、この寺に来る人々をそっと見守る、そんな犬だった。
あのわんちゃんもあの世にいっちゃってたのか…。
もう随分時はたっている。わかってはいる。それでもそれは悲しい事だ。
「うーん、愛想はそんななかったかなあ…」
坊さんはちょっと嬉しそうな顔をしていった。

「犬も、猫もみんな消えちゃうんだな……」
またそう思えて、悲しくなる…。思わずいってしまう
「でもって、私も消えていく…まだ、消えるつもりはないけど、わかっているけれど惨いし、儚いなあ……」
自分の命がやがて消えるという結論にしろ、最愛の猫のももがあの世に消えたことにしろ、過去に接した自分が知っている動物達があの世に行ってしまったこと…、何にしろ悲しかった。
「人間よりも動物は先に死ぬという結論はわかっていても、割り切れるものではないですね…」
「そりゃそうでしょう…」
坊さんは静に答えた。
きっと、坊さんは、ペットを見送る飼い主達をとんでもなく見てきたわけだから、何かしらわかっているんだろうなあ…。なんかそんなことを考えながら、しばらく話をしていた…。

やがて、坊さんは出ていき、更に父と母が戻ってきた。

「おい、あともう少しで、ももの御骨ができるって…」
父親がいう。物凄く静かな声だった。
「な~にぼ~っとしているのよ!」
母は何がそんなに面白いのか、私を見て笑っていた。やたらに元気な母である。
「そうか…」
母の姿を見るのがなんだか、どうにも嫌で、そのまま部屋から私は外に出る…。

「いよいよ、御骨になっちゃうんだね…」

もう、ももの姿は御骨になる…。 白く、儚いカルシウムになってしまう…
その現実が悲しかった。


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ももとの最後の思い出ー回想記11 に続きます。

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