愛猫ももは、突然11月28日の12:30にあの世に行ってしまいました。
未だに呆然としているものの、徐々に現実を受け入れて、苦い思いをかみしめている…。
そういう現実です。
あまりにも突然の死でショックではありますが、このまま記憶をただただ消してしまうことになってしまうかもしれないのはいただけません。
そんなことを思います。
悲しくても、惨くても、これはももとの最後の思い出ということにもなるのです。
ですから、私は書くのです。
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物凄い速さで、日は流れていった気がします。
11月28日 夜
ももの死体は、死んでいるのが信じられないほど、しなやかで美しく、見ている姿は、どうにも寝ているようにしか見えませんでした。
これがまた、ふにゃんとしたリラックスしたような姿なのです。
死にたてほやほやだから、死が信じられないのもありますが、随分と綺麗な死体でした。
淡いピンク色タオルを布団のように被っているももは、いつものように寝ているようにしか見えなくて、どうにも緊張感がありません。でも、それでも死んでいるのです。
寝ているようにしか見えないのに、まったく動かないのが不思議でしかありません。
昼間には猫ではないような生物になり苦しんで暴れまわっていたことなど、まったく忘れたかのような、ももの姿でした。
安らかすぎるほど静かな、美猫というのにふさわしい姿でした。
それゆえ、底なしに惨く感じました。
「おーい、もも…。薬飲まなきゃダメだろう…」
いつもあげていた液体の薬であるセミントラをももの口に入れました。最後のセミントラです。
死んだ猫には必要ないものですが、してあげたくなったのです。
セミントラは毎日ももが飲んでいたお薬です。
ももは飲めませんから口を濡らしただけでした。
いつも、「もう仕方がないなあ」という顔をして、薬を飲み、飲み終わった後は「一仕事終えたぞ」というドヤ顔を見せていたのに…。
もう、そんな顔はしないのです。昨日まで普通に飲んでいたのに…。
「ちゃんと飲まないとダメだぞ…」
そんなこといっても死体が飲めるわけはありません。でもいわずにはいられませんでした。
死んだことが認められないのです。わかっているけど認めたくないのです。
どうにも信じられない私は、この夜はずっと添い寝をしているようなものでした…。
11月29日 朝~昼
「もも、起きないねえ…」
母は動くわけのないももの姿を見て呟きました。
7:30.通常なら、ももは既に起きていて、朝の散歩ついでに、休みの日には寝坊しがちな私を起こしてくれる時間でした。まあ、起こしてもらいながら一緒にねてしまうという時も結構あったのですが…。
「もう、起こしてくれないんだね…」
私は自分自身にいい聞かせる様にいいました。自分で言っておきながら、悲しいものでした。
ももの目覚ましは強力で可愛いものでした…。
はじめは、「おきなさ~い」といった感じで呼びかけるのです。
可愛い声で鳴くのです。
で、起きると普通にすりすりしてくるのですが、起きないと次のステップに行きます。
2段階目は、人の体の上に乗り(だいたい、お腹か胸の上)悠然とおすわりか、ふせをします。
で、「おきなさ~い」と再び語り掛けます。が、起きないと、だんだん声が大きくなり、
「おきろ~」と終いには鳴くのです。
で、3段階目にいくと、顔に乗るのです。どすっと容赦なく乗るのです。
顔がもふもふして、重くなります。ももの香りがふわ~んとします。
これはこれで、気持ち良かったりします。
で、4段階目になると、人間の顔をつんつんとやりはじめます。
ほっぺた、おでこ、口、鼻…まんべんなく、つんつんするのです。これがくすぐったくて、可愛くて、結局起きます。
ちなみに、最終段階は一番強烈です。なにせ、ももはそーっと、可愛いおててを、人間の開いている口に突っ込むのです。これが苦しい。嫌でも起きます。
慌てて起きると、「よ~し起きたね」といった顔をして目を細めます。
で、ももはどの段階で起きても、「おはよう」と鳴いてすりすりとすりよってくるのです。
本当に可愛らしい目覚ましでした。
でも、もうそんなことはしてくれないのです。永遠に眠りっぱなしで、起きないのです…。
「もも、私起きちゃったよ… おはようの挨拶もしてくれないのか…?」
安らかな顔をして、眠っているようにしか見えないももが悲しくてたまりませんでした。
「お腹すいたでしょ? モンプチもカルカンもシーバもあるよ。もものお気に入りの、チキンの煮た奴だってあるんだよ???」
そういっても、ももは無言です。奇跡でも起きてくれないかと待っても、無慈悲に動きません。
ただ窓辺に寝そべっている姿に見えても、ももはいないのです。
ももではなく、ももの死体があるのです…。
朝から昼は 死んだもものために、お供え等をして整えました。
本当は生きているいつものももに、する予定のお手入れは、結局、今は死んだももの為に
することになりました。
耳を綿棒で綺麗にして、濡れティッシュで顔を拭いて、ももの大好きだったピンクのブラシでブラッシングしました。最後のお手入れです。悲しいほど綺麗なももでした。
はたから見れば、いつものようにブラッシングをして気持ちよくなって、ごろ寝しているようにしかみえないのに、動かないのだ。
綺麗な毛並みで、ちょっと硬くなってしまったけど柔らかで、ごくほんの少しだけ暖かかったです。もっともこれは、いいお天気だったので、太陽がでていました。
だから、ほんの少しだけ温度があったのでしょう。
買い物に行ってきて、ももが好きなものも新たに供えました。
本当は、生きているももの為にこの品物はあげたかった…。買い物中も涙が出そうになります。
帰ってきて、甘酒や、ジャージー牛乳もももにお供えしました。
ももが好きなのです。もう食することはできないけれど、せめてものとしてお供えしました。
甘酒はなぜかももは飲むのです。ももが飲む場合は、いつも水で薄めて猫舌でも飲みやすい様にしていました。それをももはおいしそうに飲むのです。
私が甘酒を飲んでいると、「私にも頂戴」といって上目遣いのうるるんとした目で、こちらをみるのです。塩分も入っているのでたくさんはあげれません。ももは腎不全でしたから、そのへんは気を使っていました。
けれども、こんなことになってしまうのだったら、好きなだけ飲ましてあげたかった…。
ジャージー牛乳もももは好きで、猫用の飲料水用のカップに少し入れてあげていたのですが、最期にこのジャージー牛乳を飲んだ日は、とても美味しかったのか、「おかわり~」と鳴いて催促し、3杯も飲んでいました。けっこう豪快に飲んでました。
が、そんなにいっぱいは飲ますのは安全じゃありません。ついでに言うなら賞味期限がかなり近かったこともあり余計に心配でした。
「流石に3杯は飲み過ぎだよ」
といって、おねだりしそうなももにいった自分は、随分冷たい人間だったのかなと思います。
後日、ジャージー牛乳はなかったので濃い目の牛乳をあげたけど。
それはそれで、おいしそうな顔をしてたけど、やっぱりたんまりあげたかったなあ…こんなことになるのなら…
もう、何かするたび、ももにもっといろいろしてあげたかったと、後悔やら、哀しみやら、悔やみやら、ぼこぼこ湧いてきます。
そのたんびに、私はももを「ごめんなさいね、もも…」といって撫でていた気がします…。
もっと、幸せな思いいっぱいさせてあげたかったなあ…。
もっと、でろでろに甘やかしたかったなあ…。
もっと、いっしょに、いちゃいちゃしたかったなあ…。
いろんなことが、思い出されて、何度も泣きました。自分のことを血も涙もない人間だと思っていましたが、思いのほか涙はぼろぼろ気を付けないと出てきます。
この日は一日中泣いていた気がします。
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ももとの最後の思い出ー回想記2 に続きます。
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